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ささめゆき

細雪

谷崎 潤一郎

02 中巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 194,628 字 · 371 页

青空文庫

そんな風にこいさんがいろいろ迷うのも結婚がおくれているからだと思うと、尚更雪子ちゃんの縁談が急がれます。ほんとうに一日も早く雪子ちゃんの身が固まってくれるとよいのですが、今年もとうとう縁が纏まらずに終るのでしょうか

まだ書きたいことがたんとあるような気がしますけれども今日はこれぐらいにしておきます。では貞之助さん、悦ちゃん、こいさん、皆さんによろしく

十一月廿八日

鶴子

幸子様

「その手紙、あんたどう思いなさる」

幸子は妙子に話す前に、その晩それを先ず貞之助に見せたのであった。

「お金の話、こいさんの考えてることと本家の云うことと、多少喰い違うてるみたいやないか」

「それでっしゃがな、問題は」

「お前は一体どう云う風に聞いてるねん」

「こないなって来ると、どっちの云うことが本当かあたしかて分らへん。何でも兄さんが、お父さんから預かっているものがある云うことは聞いてるねんけど。………このことは今こいさんに云わんと置いとく方がええことおませんか」

「いや、そう云う大切なことは、思い違いのないように早う知らしとく方がええで」

「それからあんた、啓坊のことどんな風に話しやはりましたん?………近頃は昔のようにええことない云うこと、よう云うてくれはりましたん?」