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ささめゆき

細雪

谷崎 潤一郎

02 中巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 194,628 字 · 371 页

青空文庫

とはもうこれぎりかいな」

「そうやないやろか」

「えらいあっさりしてるねんな」

「本当にそんなものかも知れんな、―――」

と、その話の出た晩の食卓で、貞之助も口を挟んだ。

「―――もともと彼等のは、恋愛ではのうて遊戯やさかいに」

「あの人等、独身で日本に住んでたら、お互にそんな風にでもせなんだら、何や工合悪いことあるのんと違うやろか」

と、妙子が弁護するように云った。

「ところで、船はいつ出るねん」

「明後日の正午出帆ですねん」

「あんた、明後日都合つかへん?」

と、幸子が云った。

「―――あんたも見送りに行ったげなさいな。―――悪いわ、あれぎりお返しもせんとおいて」

「とうとう御馳走になりっ放しになってしもうたな」

「そやよってに行ったげなさい。悦子は学校がありますけど、外の者はみんな行くつもりにしてますねん」

「姉ちゃんも行くのん?」

悦子がそう云うと、

「姉ちゃんはシャルンホルスト号見に行くねん」

と、雪子は肩をすぼめながらニヤニヤした。

その日貞之助は、午前中一時間程事務所へ出て神戸へ直行し、キチキチに波止場へ駈け着けたので、カタリナとはゆっくり話す暇もなかった。見送りは「お婆ちゃん」