轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ささめゆき

細雪

谷崎 潤一郎

02 中巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 194,628 字 · 371 页

青空文庫

おや、学校どうしたの、と云うと、今日は一時間で授業がお休みになったんだよ、水が出ると帰り路が危険になるからこれで帰って宜しいって云ったんだよ、へえ、水が出そうなのかい? と、女史がそう云うと、何云ってるんだい、僕が歩いて来る後から水がどんどん追っかけて来たんで、僕、追い付かれないように一生懸命駈けて来たんだ、と、弘少年が云っているうちに、もうざあッと音がして、庭へ泥水の奔流が浸入して来、見る間に床へ上って来そうなので、女史と妙子とで慌てて其方側の扉を締めた。と、今度は反対側の廊下の方で潮騒のようなざわめきが聞えて、今弘少年が這入って来た戸口から水が室内へ流れ込んで来た。

扉を中から締めたぐらいでは直ぐに開けられてしまうので、三人の体で暫く押さえつけていたが、それでもどしん、どしん、と、戸を叩き割るように打つかって来る。三人は協力して、テーブルや椅子などで突っかい棒をして堰き止めていたが、やがて、安楽椅子を戸の内側へぺったり寄せつけてその上に胡坐を掻いて頑張っていた弘少年が、「やあ」と大声で笑い出した。と云うのは、忽ち戸が開いて、安楽椅子が、坐っている少年ぐるみ浮き上ったのであった。