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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
01 上巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 150,580 字 · 287 页
何も好男子でなくてもよいし、実際の年は貞之助より上であっても構わないが、二人並んで盃をする時に、花婿の風采があまり爺々して見えるのでは、雪子が可哀そうでもあるし、折角世話をした自分達にしても、列席の親類達に対して鼻を高くすることが出来ない。矢張いくらかは新郎らしい若々しさ、と云うのが無理なら、何処か溌剌とした、色つやのよい、張り切った感じの人であってほしい。―――それやこれやを考えると、幸子はどうもこの写真の人では気が進まないので、さしあたり急いで調べようともせず、そのまま一週間ばかり握り潰していたのであった。
が、そのうちに気が付いたことと云うのは、先日「写真在中」とした郵便物が届いた時に、雪子がちらと見て知ってはいなかったであろうか、そうだとすると、黙っていては却って隠しごとをしているようで、変に感じはしないであろうか、と云うことであった。幸子としては、雪子の様子に表面何の変ったところも認められないようなものの、この間のことが矢張多少は精神的に創痍をとどめてはいないかと考え、そう矢継早やにあとの話を持ち出すことは控えた方がよいと思っていた訳であるが、何処からか写真を送って来ているのに、中姉ちゃんはなぜ淡泊に打ち明けて云ってくれないのかと、此方の折角の心づかいを不自然な細工をしているように取っても困る、