轻松读懂日语经典作品
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
01 上巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 150,580 字 · 287 页
「そう云えばこの頃の赤ちゃんは昔のように泣かなくなりましたわ。往来を連れて歩いている時に躓いて転んだりしても、自分で立って歩けるくらいなお児さんでしたら、決して傍へ寄って行って抱き起してやったりしないんですってね。そのままお母さんがどんどん知らん顔をして歩いて行くと、子供は却って泣かないで、独りで起き上って追っかけて来るそうでございますね。………」
宴が終って階下のロビーへ降りて行ってから、井谷は貞之助夫婦に、もしお差支えなかったら十五分か二十分ほど、お嬢さんと二人きりで話してみたいと云われるのですが如何でしょうか、と、瀬越の希望を申し入れた。そして、雪子も異存がないと云うことだったので、それから暫時二人が別席に引き取っている間、残りの者は又雑談を交していた。
「さっき、瀬越さんどんな話しやはったん」
と、幸子は帰りの自動車の中で云った。
「何やいろいろ聞かはったけど、………」
と、雪子は口籠りながら、
「………別にどう云うて、纏まった話しやはれへなんだ。………」
「まあ、メンタルテストやってんな」
「………」
おもては雨が細かになって、春雨のようなしとしととした物静かな降り方をしていた。