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うつくしいにほんのれきし
美しい日本の歴史
吉川 英治
「週刊文春」1959(昭和34)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,561 字 · 37 页
異見会とは、つまり談合会で、今でいう委員会とか何々会議のつもりであろう。だがそう難しくせず、黒田藩では「腹立てずの夜咄し会」ともいっていた。
如水の子、長政が始めたことらしい。
月々一、二回、家中の各部門から重な者七、八名が、集まって(交代制で、軽輩の加入も許されている)長政を中心に、いろんな註文を出したり懸案を話し合うのである。もちろん日頃胸につかえている不平、忠告、疑問、何でも持ち出して討議しあう事になっていたという。だからこの異見会には、かたい会規が前提になっていた。
この場のこと、すべて政道施策の最良の一を選ぶに帰一して、いかなる言にも、決して腹立て申すまじき事。また、後々も意趣に残すまじき事。更には、秘すべきは、これを他言いたすまじき事。
以上が、誓言の要だった。これは愉快な会だったらしく、家中の士も異見会といえば、愉しみにしたそうである。特に長政などは、人々の苦言に触れると、つい大名心理が出て、気色ばんだり不機嫌になったりするので、そんな時は、
『では、会主ご自身、会の清規をお破りになられますか』と、満座の者から痛いところを抑さえられたりして、