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くしんのがくゆう

苦心の学友

佐々木 邦

「少年倶楽部」1927(昭和2)年10月号~1929(昭和4)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,732 字 · 332 页

青空文庫

「いいや」

「うそをいってもだめだよ。いま蜂退治のはなしをしていたじゃないか?」

「それがどうしたんだい?」

と細井君も鼻息があらかった。

「堀口君にいいつけてやるぞ」

「堀口がなんだ? あんな低能が」

「覚えていろ!」

と尾沢生は一同をにらんでいってしまった。

「しょうがない奴だ」

と高谷君がつぶやいた。

「きみたちのくることはみんなに内証にしておこうよ。堀口君がうるさい」

と正三君は少々不安を感じた。

「いいとも」

と三人は承知だった。堀口生とその一味は級の鼻つまみになっている。

土曜日の放課後、照彦様と正三君は同級生三名を案内して帰ってきた。門を通った時、

「きみ、叱られやしないかい?」

と高谷君がきいた。

「大丈夫だよ」

と照彦様が保証した。

「漢文のメントル・テストがあるようなら僕はすぐ帰るよ」

と細井君がいった。

「遊ぶんだもの。そんなものはないよ」

と正三君が安心させた。

「広いなあ」

と初めての松村君は感心していた。

内玄関から上がって学習室へおさまるとまもなく、

「どうぞお食事を」

と女中が案内に現われた。安斉先生のさしずでお昼の支度がしてあったのである。