轻松读懂日语经典作品
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くしんのがくゆう
苦心の学友
佐々木 邦
「少年倶楽部」1927(昭和2)年10月号~1929(昭和4)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,732 字 · 332 页
それから卒業すればご一緒にアメリカへ留学させていただける。正三のためには出世の糸口が開けるわけじゃないか?」
という工合にいいことばかり並べ立てた。
「それはそうでございますよ。おやしきの信用を得ておけばどこへ出るにしても都合がよろしゅうございますわ。けれども、あなた、これまで大きくしたものを見す見すさしあげてしまうんですから、私の心持ちも少しはお察しくださいませ」
とお母さんは痛しかゆしだ。姉さんたちも、
「不断はずいぶん憎らしい子ですが、こうなるとかわいそうでございますわ」
「おやしきへあがればとてもこんなにわがままはできませんよ」
と一種の人身御供のように考えている。
「どうもおまえたちはわからないね」
「いいえ、お父さん、正三が多少犠牲になることは事実ですよ」
と兄さんの裕助君がまた主張した。
「犠牲なものか、特典だよ、おまえたちは正三をおやしきへ奉公にでも出すようにいうが、けっしてそんなわけのものじゃない。お学友だよ」
「盆正月でなくても帰って来られますの?」
とお母さんがきいた。
「薮入りかい? ばかだなあ。奉公人じゃあるまいし。日曜や休暇には大手をふって帰ってくる。