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くしんのがくゆう

苦心の学友

佐々木 邦

「少年倶楽部」1927(昭和2)年10月号~1929(昭和4)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,732 字 · 332 页

青空文庫

「さあさあ、用のないものは早く帰る」

と例のせっかちな調子で皆を追いだした。

「松村君」

「はあ」

「級長のきみがこの仲間にはいっているのは不都合のようで好都合だ。いったいどうして喧嘩をした? わけをいいたまえ。さあ、いいたまえ」

「申し上げます」

と松村君が立った時、窓からのぞいたものがあった。

「用のないものは帰る!」

と先生は駈けていって叱りつけた。

松村君は最初からのいきさつを説明した後、

「もし内藤君が負けたら高谷君が出るつもりでした。そのつぎは細井君、そのつぎは僕と順番がきめてありました。僕たちもわるかったんですけれど、今まで堀口君があんまりでしたから、つい……」

と手はずまで説明してしまった。

「堀口君」

「はあ」

「今、松村の話しどおりか?」

と先生がきいた。

「違います」

「どこが違う?」

「松村君は僕たちもわるかったけれど堀口君があんまりだったからといいました。あすこが違っています」

「それではきみはわるくないというのか?」

「いいえ、僕ばかりわるいんです」

と堀口生はいつにないことだった。

「高谷君」

「はあ」

「きみは喧嘩に勝ったんだが、どんな心持ちがする?」