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くしんのがくゆう

苦心の学友

佐々木 邦

「少年倶楽部」1927(昭和2)年10月号~1929(昭和4)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,732 字 · 332 页

青空文庫

しかし堀口生は喧嘩以来後悔を持ちつづけていた。

「今まで僕がわるかった。かんべんしてくれたまえ。僕は二日休んで考えた。このとおり退校届を持ってきた。松村君、松村君」

「なんだい?」と松村君が答えた。

「僕は皆にわるいことをしている。きみからあやまってくれたまえ」

「もういいんだよ。すんでいるじゃないか?」

「皆、いや、諸君。きみたち!」

「…………」

「ほんとうにいいのかい?」

「いいんだよ。いいんだよ」

と五、六人がきのどくになって異口同音にいった。

「それじゃ僕はもうこれからわるいことをしないようにここで約束する。実は昨日お母さんがあやまりにきて、先生にだけはもう一ぺん堪忍してもらったんだ。松村君」

「なんだい?」

「これをきみにあずけておく。僕の退校届だ。このとおり伯父さんの判がおしてある」

と堀口生は半紙に書いたものをひろげて皆の方へむけた。

「そんなものはいらないよ」

「いや、これをあずかっておいて、今度僕がわるいことをしたらすぐに橋本先生に出してくれたまえ」

「…………」

「さあ、きみ」

「僕は困る、そんなこと」

「松村君、そうしてくれなければ僕は除名になる。堪忍してもらえないのも同じことだ」