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くしんのがくゆう
苦心の学友
佐々木 邦
「少年倶楽部」1927(昭和2)年10月号~1929(昭和4)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,732 字 · 332 页
「なるほど」
「矢島君のおっしゃるとおり、さしあたりはご自由におまかせ申しあげて、新年からおたがいに努力する方が策の得たものかと私も存じます」
と有本さんが賛成した。
「それではご両君のご意見に従いまして、ご補習はあきらめましょう。つぎは武道ご奨励の件です。これはいかがなものでしょうかな?」
と安斉先生はつぎの問題に移った。
「結構でございますな」
と今度は二人とも異議がなかった。相談の結果、一月五日から柔道の寒稽古を始めることにきまった。照彦様と正三君もそれを機会にお弟子入りをするのである。おやしきにはりっぱな道場があって、剣道柔道の両先生が毎週見えるのに、照正様はあまりおやりにならない。照常様が多少柔道にご熱心なだけで、主に家来の息子たちがかわってお稽古を受けている。
「修業ざかりのものが小説を読んでいるようでは仕方ありません」
と安斉先生は溜め息をついた。これは照常様のことだった。
「はあ」
「血気さかんなものが油絵を描いているようでは仕方ありません」
「それはそうですけれど、ご趣味の方はまた特別でございましょう」
と有本さんがちょっと弁解の態度をとった。