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くしんのがくゆう

苦心の学友

佐々木 邦

「少年倶楽部」1927(昭和2)年10月号~1929(昭和4)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,732 字 · 332 页

青空文庫

「なくてもいいよ」

「阿部君、きみはどうだ?」

と篠崎生もあたってみた。しかし敵は本能寺にある。

「いやだよ」

「なぜ?」

「僕はあたるのはすきだけれど、取りにいくのは嫌いだ」

と阿部君が平気で答えた。

「僕もさ」

と共鳴するものがあった。

「感心しちゃった」

と篠崎生が空うそぶいた。

「…………」

「ひどいよ。いつでも僕たちが持ってくるんだぜ。きみたちはいつもただであたっているんだぜ」

と尾沢生が苦情らしくいった。

「…………」

「ずるいよ」

「…………」

「正直なものは損をする。なあ、横田」

「うむ。おれたちはばかさ。皆たちまわりがうまいのさ」

と横田生が受けた。

ちょっとの間沈黙がつづいた後、一人の生徒が急に思いたったように出ていった。

「ありがたいぞ。有志有志!」

と尾沢生が手をたたいた。

「なあに、逃げていったんだよ」

と篠崎生は知っていた。

「おやおや」

「ハッハハハハ」

と皆笑いだした。

「実際不景気だなあ。仕方がない、僕、いってくらあ」

と尾沢生はふたび横田生に目くばせした。

「僕、いくよ」

「僕がいく」

と篠崎生も主張した。これが予定の筋書きで、

「それじゃジャンケンにしようか?」