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くしんのがくゆう
苦心の学友
佐々木 邦
「少年倶楽部」1927(昭和2)年10月号~1929(昭和4)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,732 字 · 332 页
「関さん、このとおりだ」
と堀口生は大地に両手をついた。おじぎをするのかと思ったら、そうでない。そのまま逆立ちをして歩きだした。
「やったやった!」
と関さんは驚いて後じさりをした。関さんは逆立ちの名人だ。連隊長殿が感心して見ていたといって、常に自慢している。
「どうだ関さん、これでも堪忍してやらないか?」
と堀口生は逆立ち歩きをつづけながら真っ赤になって頼んだ。妙なあやまり方があったものだ。
「業あり!」
と関さんは手をたたいて、ポケットから鍵を出すが早く物置きの戸を開いた。照彦様は石炭の上につっ伏していた。正三君がたすけ出した。皆は照彦様の顔の黒いのにあきれて、
「どうしたんだろう?」
というように目と目を見あわせた。これは石炭の中に埋まって泣いていたからだった。
「内藤正三位」と尾沢生がつっかかった。
「なにをする?」
「君辱しめられて臣死す」
「…………」
「切腹しろ」
「…………」
「貴様は忠臣蔵を知らないか?」
「よせ!」
と堀口生がいきなり押した。尾沢生がよろけてきた時、関さんはその腕を捉まえて、
「さあ、教員室へ来い」
といった。
「なんです?」と尾沢生は青くなった。