轻松读懂日语经典作品
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くしんのがくゆう
苦心の学友
佐々木 邦
「少年倶楽部」1927(昭和2)年10月号~1929(昭和4)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,732 字 · 332 页
家来で毎晩ここにいならぶのは正三君ただ一人、光栄とも恐縮とも考えているところである。お殿様はこの機会を利用してお子様がたと親しくお語らいになる。その晩、正三君は照彦様と申しあわせてなるべくうつむいていた。正三君は末席でそのすぐ上が照彦様だから、いいあんばいにお殿様から程遠い。お兄様がたもお姉様も二人が蜂にさされたことはすでにご承知である。お殿様のお目にさえとまらなければよろしい。
食事なかばに、
「照彦は今日から学校が始まったのかな?」
とお殿様がおたずねになった時、照彦様は、
「はあ」
と頭を下げたまま答えた。
「内藤はどうだな? 学校が気に入ったかな?」
「はあ」
と正三君も面を上げなかった。
「内藤、おまえは私の前でも遠慮をしちゃいかんよ」
「はあ」
「顔を上げてへんじをしてもよろしい」
とお殿様は単に遠慮と思っていた。
「はあ」
と正三君はよんどころない。腫れた方が見えないように頭のとんがりだけをお殿様の方へむけた。そのかっこうがいかにもおかしかったので、奥様がクスクス笑いだした。
「どうしたな?」
「オホホホホ」
「お父様、内藤君も照彦も今晩はごらんに入れる顔じゃありません」