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くしんのがくゆう

苦心の学友

佐々木 邦

「少年倶楽部」1927(昭和2)年10月号~1929(昭和4)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,732 字 · 332 页

青空文庫

「先生もそうおっしゃってください。僕もなるべく申しあげます」

と正三君はいっぱし定見を持っていた。安斉先生はほめてくれた。

土曜日は自習がないので照彦様の書き入れになっている。昼からお兄様がたのまねをして馬に乗ってみた。正三君は馬の背中にへたばりついて皆に笑われた。初心だからぜひもない。その折り、

「内藤君、僕は馬に乗れても悲しいことがある」

と照彦様が草原に坐ったままいった。

「なんですか?」

「僕は叔父様のように陸軍将校になりたいんだけれどだめだ」

「なぜです?」

「軍人には試験がある。しかし僕は頭がわるい」

「若様、あなたは頭が悪いことはけっしてありません」

と正三君は力強く否定した。照彦様が目を見はって、

「きみはなぜそんなこわい顔をする?」

と驚いたくらいだった。

「あなたが頭がわるい頭がわるいとおっしゃるなら、僕はもうお暇いたします。それではお相手をしてもなんにもなりません」

「きみが帰れば僕はなおだめになる」

「若様、あなたはランニングでは僕に負けないでしょう」

「たいてい勝っている」

「相撲はどうです?」

「あれからやらないけれど、そうそう負けないぞ」

「弓は?」