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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
小山清『落穂拾い・犬の生活』。同一底本的分册已合并为一书。收入:落穂拾い、犬の生活、夕張の宿、生い立ちの記、桜林、西隣塾記、聖アンデルセン、前途なお、早春、その人、遁走、朴歯の下駄、安い頭、わが師への書、メフィスト。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,741 字 · 486 页
をやってきたらしい。そういう「浮草」のタイプなのだ。狭山茶の行商をして苦学していた頃の思い出を書いて「隣人之友」に載せたこともある。田中さんのような人はどんな田舎にも一人や二人は見かけるのではあるまいか。田中さんはこまめであった。人の厭がるようなことも気軽に引き受けた。いつも進んで貧乏籤を引き当てようとする人間が塾には二人いたのである。田中さんと鳴尾君である。それをいいことにして村木さんと私はいつも横著を極め込んでいた。だから田中さんはちょこちょこしているように見えることもあった。けれども決してそんな人ではなかった。私は田中さんを見てやはり素朴な田舎人だと思った。都会で猫の額ほどの地歩を争っている者の持つずるさもひつっこさもない。まして田中さんは挑むにも守るにも牙などは持ち合せていなかった。私のような世間見ずの天邪鬼に対しても終始寛容を以て臨んでくれた。そういう田中さんにはいわば人生の端役を以て任じている者の雅懐があった。私がその第一印象に鬼の念仏を聯想したというのも、つまりその雅懐から生ずる田中さんの持つ微笑が然らしめたのではあるまいか。思うに子供の虫封などのまじないに利用されるかの鬼の念仏像はむしろユウモラスな存在ではなかろうか。