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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
小山清『落穂拾い・犬の生活』。同一底本的分册已合并为一书。收入:落穂拾い、犬の生活、夕張の宿、生い立ちの記、桜林、西隣塾記、聖アンデルセン、前途なお、早春、その人、遁走、朴歯の下駄、安い頭、わが師への書、メフィスト。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,741 字 · 486 页
なんといっても段数があるので調法だったのである。やはり天性好きな血が流れていたのか、なかなか天狗のところもあって、時には憎い口をきいたものだという。あるときふとこの人に私は子供らしい質問をした。
「お父さんのお弟子さんの中では誰が一番うまい?」
大阪お祖母さんはまじめな顔をして一寸考えてから、
「イエだろう。イエがいまに一番よくなる。」
私には思いがけなかった。イエのことが念頭にあって問いかけたわけではなかったから。
「越春さんは?」
イエにとっては姉弟子、父の一番古い弟子のことを云ってみた。その豊富な美音は弟子達の誰もが羨やむところだった。
「さあね?」とまた考えて「やっぱり、イエだろう。」
「イエちゃんはそんなにうまいの?」
「素性がいいのだよ。」
私にはよく解らなかった。しかしぼんやり感ぜられるものがあった。「いまにきっとえらい人になります。」初めて耳にした支持の言葉が私の胸によみがえった。
「イエちゃん、お父さんがね、」その日私はイエをつかまえて、「イエちゃんが一番浄瑠璃が上手だって、そう云ってたよ。」
大阪お祖母さんでは流石に権威がないように子供心に思えたのだ。