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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
小山清『落穂拾い・犬の生活』。同一底本的分册已合并为一书。收入:落穂拾い、犬の生活、夕張の宿、生い立ちの記、桜林、西隣塾記、聖アンデルセン、前途なお、早春、その人、遁走、朴歯の下駄、安い頭、わが師への書、メフィスト。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,741 字 · 486 页
しづちゃんも私を好きらしい。私に抱かれることを喜ぶ。私が行くとイエよりもまずしづちゃんが迎えてくれるのだ。自分の夢にだけ生きている私にとって、イエの家庭はいわば心のふるさとであった。生活に臆した気持になるとき、いつも私の心を引き立ててくれるものはイエの家庭のおもかげであった。そこでは辛いことも霧と薄らぎ、私も千の負目を忘れて団欒の仲間入りをした。泉さんの死後イエはあの多摩川の上流の田舎に帰った。「炭焼き江戸っ子。」とは祖母の憎まれ口であるが、いまはそれを本業にしている。ただしづちゃんの成長を楽しみに静かに生活している。しづちゃんもいまは十歳になる。イエの幼いころにそっくりである。小学校の三年生になる。しづちゃんの学校を私も見たが、田舎の学校はいい。校庭も広く、樹木も多く、そして周囲は塀の代りに、ただ生垣がめぐらしてあるだけの、木造の素朴な学舎である。しづちゃんの通信簿を見せてもらった。唱歌に、図画に、書方がいい成績である。操行の欄には「オ友達ニ親切デス。」と書かれてあった。いい先生だなと私は思った。この間しづちゃんから「星マデ高ク飛ベ。」という手習いが送られてきた。