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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
小山清『落穂拾い・犬の生活』。同一底本的分册已合并为一书。收入:落穂拾い、犬の生活、夕張の宿、生い立ちの記、桜林、西隣塾記、聖アンデルセン、前途なお、早春、その人、遁走、朴歯の下駄、安い頭、わが師への書、メフィスト。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,741 字 · 486 页
別の境遇のことは思った。掃除工などにならせてもらえればなアと思った。そこでは飯は一等飯だという話だし、私にも掃除なら出来るだろう(ものをつくりあげるということは自分にはだめだ)と思ったのだ。――しかし私はかえされてしまったのだ。悲しい気持を抱いて出たとこへ、また別な悲しい気持でいやいやもどったのだ。
それはあと十日余で正月が来るという頃だったのだ。入所したのは十月の上旬で、十一工場には二十日ほどいて九工場へ廻り、そしてまたかえってきたのだ。九工場には五十日ほどいたわけだ。五十日、それはあとで数えてみた計算である。五十日も、いたという実感は私のうちにはなかった。生活状態がまだはっきりときまったものになっていなかったし、(私の仕事が全然ものになっていなかったのだし。)それに私は刑務所の生活にまだしんからは慣れていなかったのだし、その上そこではなんの愛着の残るものもなかったから。工場でも舎房でも私は仲間に親しめずに終った。こっちへかえってはやはりかえったという感じは持たされた。二十日ほどの馴染みではあったが、かつての者達の中にまたまじって、こっちの方に多分にともだちを感じた。