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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
小山清『落穂拾い・犬の生活』。同一底本的分册已合并为一书。收入:落穂拾い、犬の生活、夕張の宿、生い立ちの記、桜林、西隣塾記、聖アンデルセン、前途なお、早春、その人、遁走、朴歯の下駄、安い頭、わが師への書、メフィスト。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,741 字 · 486 页
」
千鳥足で帰ってくると、離れの窓に明りのついているのが見える。その明りを見つめているうちに、私はその中にメリーがいるような、また自分がいるような気がしてくるのであった。
私の家の近くに井の頭公園がある。私は朝と夕方、散歩かたがた、メリーをそこへ運動に連れてゆく。私とメリーがはじめて邂逅した場所も、この公園である。
私の家から公園の木立が見え、家の前の小路を抜けると、そこはもう公園である。ここはむかしから、都人の行楽地として有名である。戦争末期から戦後にかけては荒れていたが、いまは風致も整って、小綺麗になっている。日曜祭日などは家族づれで賑わっているが、ふだんはそれほどでもなく、閑散としている。雨上りの後などに、池畔をぶらつく気分は悪くない。四季折々で、それぞれ風情があるが、私はとりわけ冬枯れの頃と青葉期が好きだ。紅葉のときも悪くないが。武蔵野市では、この公園の風致を保つために、常住人夫を入れている。
私はメリーの首輪に鎖をつけてそれを握り、メリーをひっぱったり、またメリーにひっぱられたりしながら、池の周囲をひと廻りしてくる。
野口雨情もかつて武蔵野市に住んでいて、この井の頭は雨情が朝夕散歩をしていた処のようである。