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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
小山清『落穂拾い・犬の生活』。同一底本的分册已合并为一书。收入:落穂拾い、犬の生活、夕張の宿、生い立ちの記、桜林、西隣塾記、聖アンデルセン、前途なお、早春、その人、遁走、朴歯の下駄、安い頭、わが師への書、メフィスト。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,741 字 · 486 页
一昨年の秋だったか、池畔に雨情を偲ぶ碑が建てられた。碑面には雨情の作になる井の頭音頭の一節が刻んである。
鳴いてさわいで
日の暮れ頃は
葦に行々子
はなりやせぬ
雨情自身の筆蹟だが、一寸判読し難い。その後、碑の傍らに、文字を明記した表札が立てられた。雨情がこのうたを詠んだのは、大分むかしのことであろう。いまはよしきりの鳴声もきかれない。葦も池の輪郭が狭って池の水が小さな流れになる、上に井の頭線の鉄橋が架かっている辺に、わずかに見られるばかりである。
晩年の春だったか、池の中ほどにある橋が改築されて、七井橋と呼ばれるようになった。橋のたもとには、こんな表札が立てられた。
「この池の水は大昔から飲料水、田用水に利用されています。特に徳川初期、神田上水が江戸の町民に使われ出すと、その水源として名高くなりました。後玉川上水が開かれると、その溜池にもなったが、今は東京都水道の補助水になることもあります。徳川三代将軍家光の牟礼野田猟の時、御殿山に休息して池の泉に渇を医してから、弁財天の堂宇も立派にされました。池の中の七箇所から清水が湧いて旱の時も涸れることがないので、『七井池』