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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
小山清『落穂拾い・犬の生活』。同一底本的分册已合并为一书。收入:落穂拾い、犬の生活、夕張の宿、生い立ちの記、桜林、西隣塾記、聖アンデルセン、前途なお、早春、その人、遁走、朴歯の下駄、安い頭、わが師への書、メフィスト。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,741 字 · 486 页
あのときおすぎは吐胸をつかれるような感じをうけた。はるばると遠い他国に来た人の身の上をかりそめに思うことが出来なかったのである。今あのときの気持を静かに反芻していると、自分とトシの身の上が改めてかえりみられるような気もしてくるのであった。
順吉の手術の結果は順調であった。痛いものらしいのだが、順吉はそう痛みを訴えるでもなかった。
「痛みますか?」と訊くと、柔らいだ表情で、「ええ、すこし。」と答えた。
その後四五日は重湯ばかり啜っていたので、腹は空いたらしかった。そのつど賄から届けてくる食事を見るたびに、順吉は不服そうな顔つきをした。おすぎは気の毒な気がしたが、医師の許可がないので、なにかをつくってやるというわけにも行かなかった。順吉はおすぎが町で買ってきた飴玉をしゃぶってわずかに気をまぎらしていた。
「もうすこしの辛抱よ。なんでも上れるようになったら順さんのお好きなものをつくってあげますわ。」
と云うと、順吉は照れたような表情をした。順吉はよくその浅黒い顔を赤くした。現場の先山が見舞いにきて夕張も悪くないだべ、こっちで所帯を持ったらどうかと云ったときにも。