轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
小山清『落穂拾い・犬の生活』。同一底本的分册已合并为一书。收入:落穂拾い、犬の生活、夕張の宿、生い立ちの記、桜林、西隣塾記、聖アンデルセン、前途なお、早春、その人、遁走、朴歯の下駄、安い頭、わが師への書、メフィスト。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,741 字 · 486 页
中の品物は観音さまのお守りだが、二つに割れている。一年前、東京を立って北海道へ来る日に、順吉はいったん指定の集合場所へ行ったが、汽車の発車時間まで暇があったので浅草の観音さまにお参りした。そのときこのお守りを買った。こないだふと取り出して見たら割れていたのである。こういう現象は巷間ではその持主に観音さまの加護の手がはたらいたということになっている。
「ごらんなさい。観音さまのお守りが割れちゃった。」
おすぎは無言で手に取って、ちょっと感慨深げに見守ってから順吉に返した。
日が暮れて燈火が点いてから間もなく、順吉の手術があった。おすぎは順吉が手術室に運ばれた留守の間に、寝台のまわりを片づけて掃除をした。この病室は窓際にスチームが取りつけてあって暖かで汗ばむほどである。窓硝子越しに、遠景の山の中腹に鴉の群れているのが、暮色の中に黒々と見える。窓の外は病院の中庭で、そこに外郭を煉瓦で囲った手術室がある。手術室には煌々と燈火が点いている。中では順吉の手術が行われているわけである。薄闇の中で手術室の窓はいかにも明るい。おすぎはトシに乳を銜ませながら、最前順吉が観音さまのお守りを見せてくれたときのことを思い浮かべた。