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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
小山清『落穂拾い・犬の生活』。同一底本的分册已合并为一书。收入:落穂拾い、犬の生活、夕張の宿、生い立ちの記、桜林、西隣塾記、聖アンデルセン、前途なお、早春、その人、遁走、朴歯の下駄、安い頭、わが師への書、メフィスト。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,741 字 · 486 页
土手下の見返り柳の向い側にあった交番の手前で、私はえつやにお巡りさんに云うべき台詞を伝授した。うちの坊ちゃんが筆箱を落したのですが云々という台詞であった。えつやはまじめな顔をしてうなずいた。交番に筆箱は届けてなかった。私の家では子供は早く寝る習慣であった。夕飯を食べてしばらくすると、兄と私は湯に入れられそして寝かしつけられた。戸外で友達と遊んでいて漸く遊びが佳境に入るところで、よく連れ戻された。私が後に心を残して迎えにきたえつやと一緒に帰ると、先廻りをした友達が不意に物陰からあらわれて私達を威した。
二年生のときだったと思う。ある日私は放課後ひとり教室に残されて、先生から説諭された。その日大阪おばあさんが学校にきて、私が我儘で家の者の云うことをきかず、また日頃貝独楽やめんこ遊びに夢中になっているということを先生に告げたのであった。「先生はお前のことをおとなしい良い子だと思っていた。」と先生は私に云った。先生からそう云われて私も恥しい気がした。貝独楽やめんこ遊びは良い子のすることではないと私も思っていたから。けれども家の者がわざわざ学校にきて先生に告げなければならないほどの行状を自分がしているとは私には思えなかった。