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おちぼひろい

落穂拾い・犬の生活

小山 清

小山清『落穂拾い・犬の生活』。同一底本的分册已合并为一书。收入:落穂拾い、犬の生活、夕張の宿、生い立ちの記、桜林、西隣塾記、聖アンデルセン、前途なお、早春、その人、遁走、朴歯の下駄、安い頭、わが師への書、メフィスト。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,741 字 · 486 页

青空文庫

私には大人のやることが納得できなかった。私が先生から説諭されている間に、小使さんが教室の掃除をしに入ってきた。先生は小使さんをかえりみて、さっきこれのお祖母さんがきてねというようなことを云った。私は先生に大阪おばあさんを祖母だと思われたことが恥しくてならなかった。私はふだん大阪おばあさんを子供心に侮っていたし、また大阪おばあさんは貧相で少しも立派ではなかったから。私は祖母にも親しみを感じていなかったが、それでも大阪おばあさんよりは祖母の方が、私の虚栄心を満足させるものを備えていた。大阪おばあさんは家では玄関脇の四畳半に寝起きしていた。そこは女中部屋に次いで薄暗い感じがした。多分大阪おばあさんの持物だったろう、小さな古ぼけた鏡台が置いてあったのを覚えている。大阪おばあさんはもう七十位ではなかったかしら。多少耄碌している感じであった。少しは三味線を弾けたようで、父のもとにくる女弟子に稽古をつけていたこともあった。あるとき、御飯を食べていたときに私は大阪おばあさんがどんぶりの中に洟をたらしたのを見つけた。私がそれを云ったら、大阪おばあさんは頑固に否定した。