轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

くものゆめ

蜘蛛の夢

岡本 綺堂

岡本綺堂『蜘蛛の夢』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蜘蛛の夢、穴、有喜世新聞の話、恨みの蠑螺、火薬庫、真鬼偽鬼、慈悲心鳥、女侠伝、廿九日の牡丹餅、放し鰻、馬妖記、平造とお鶴。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 147,189 字 · 298 页

青空文庫

かれは表へ突き出されて、降りしきる雨のなかに姿を消した。

四郎兵衛は腫れあがった顔を蒼くして、二階座敷へ戻って来た。

夕飯の膳が運び出されたが、彼は碌ろくに箸を執らなかった。何をきいても確かな返事をしなかった。

「子細はあとで話します。」

開帳の賑わいで、どこの宿屋も混雑している。この一行の座敷は海にむかった角にあるが、それでも一方の隣り座敷には三、四人の客が泊り合せていて、昼から騒々しく話したり笑ったりしている。それらの聞く耳を憚って、四郎兵衛は迂濶にその秘密を明かさないらしかったが、となりの人たちはしゃべり疲れて、宵から早く床に就いたので、その寝鎮まるのを待って、彼は小声で話し出した。

「今までおっかさんにも黙っていました。義助はもちろん知るまい。どうも困った事があるのです。」

「お前はあの女に係合いであったのかえ。」と、お杉は待ちかねたように訊いた。

「いえ、そういう事なら又何とかなりますが……。」

四郎兵衛の低い溜息の声を打消すように、夜の海の音はごうごうと高くきこえた。

三

前にもいう通り、小泉は暖簾のふるい菓子屋で、大名屋敷や旗本屋敷に幾軒の出入り先を持っていた。