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くものゆめ
蜘蛛の夢
岡本 綺堂
岡本綺堂『蜘蛛の夢』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蜘蛛の夢、穴、有喜世新聞の話、恨みの蠑螺、火薬庫、真鬼偽鬼、慈悲心鳥、女侠伝、廿九日の牡丹餅、放し鰻、馬妖記、平造とお鶴。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 147,189 字 · 298 页
その会葬者のうちに延津弥との関係を知っている者があって、中田屋の大将が死んでは師匠も困るだろう、お前さんがその後釜を引受けてはどうだなどと、冗談まじりに話していたのが、ふと町方の耳にはいった。
それからだんだん探索すると、延津弥の一件が明白になったばかりでなく、金助が当日金龍山下をたずねた事も判った。まだその上に延津弥もその晩から暑気あたりで寝ているというのである。但し延津弥の病気は差したる重態でもなく、二、三日の後は起きられるであろうとの事であった。
女中のお熊も調べられた。金助と延津弥が同時に発病したのを見ると、あるいはかの牡丹餅に何かの子細があるのではないかと疑われた。お熊もその残りを食ったのであるが、これには別条もなかった。ともかくもその牡丹餅は田原町の千鳥から貰って来たものであるというので、千鳥の女房お兼をはじめ、家内の者一同も代るがわるに取調べを受けた。当日の牡丹餅は他へ分配はしてはならないということになっているので、お熊が貰いに来た時に、お兼はいったん断ろうと思ったのであるが、千生さんのお指図によって来ましたというので、かれも辞みかねて十一ばかりの牡丹餅を持たせてやった。