轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ひょうしゃくかんにんき

評釈勘忍記

山本 周五郎

「新読物」公友社、1947(昭和22)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,889 字 · 36 页

青空文庫

「それはそうだろうが、役目のことであるからなお」

「いや大丈夫でしとも、なわも蓆もない金の草鞋に太鼓判でしよ、慶徳院さまの御治世に臼鉢百兵衛という速足がいたそうでし、間坂山が崩れて七郷の田が流れたとき、彼の百兵衛は半日で二十一里十二町を往復したそうでしが、いま私の組にいる井田典九郎なずはあなた、実に並足で半刻五里という記録を持つくらいでしからな、尤も寿門院さまの御治世に一人、後に相法院さまが久良加平の髭をおりなせった折、――あれは慥か蛇卵論議といって江戸屋敷でも評判だったそうでしから御承知かも知れましぇんが、蛇が鶏小屋へ卵を盗みに来るに就いて、いや牝鶏を瞞着するために瀬戸物で卵を作るそうでしな、なぜ瞞着せなければならぬかというとでし、牝鶏というやつは卵を産むと、――」

千蔵はもう聞いてはいなかった、両手で懸命に勘忍袋を押えつけ、眼をつむり歯を噛み緊めながら、宇野のかな女が仏像に似ていることや、このごろ家僕の秀六が立ったままで自分にものを云うことや、いちど江戸前の蒲焼を飽きるほど喰べたいなどということを考え続けた。子之八は約二時間も饒舌ったのち、再び巨大な肉塊の中へもぐり込みその肉塊を運搬してたち去った。