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あかいカブトムシ

赤いカブトムシ

江戸川 乱歩

「たのしい三年生」講談社、1958(昭和33)年4月~1959(昭和34)年3月

N4 · 入门 · 新字新假名 · 23,237 字 · 47 页

青空文庫

ぬすまれたら、このちえくらべは、きみたちのまけなのだ。」

それをきくと、「ああ、あのときのまほうはかせだったのか。」

と、やっとあんしんしましたが、でも、まだわからないことがあります。

「きのう、このせいようかんの外がわを、はしごもないのに、するするとのぼっていったのはおじさんだったの。それから、まどからのぞいていた女の子は、どうしたのです。おじさんがいじめていたのでしょう。」

「うふふふ……。あれは、きみたちを、ここへおびきよせる手なのだよ。木村くんのいもうとのミドリちゃんたちが見ているのを知っていて、ふしぎなことをやってみせたのだ。あのときは、このうちのやねから、ほそい、じょうぶな糸のなわばしごがさげてあって、それをつたってのぼったのさ。夕がただから、とおくからは、その糸が見えなかったのだよ。

あのときの女の子は、にんぎょうだよ。ほら、これをごらん。」

まほうはかせは、マントの下にかくしていた、大きなにんぎょうを出してみせました。

「でも、きのうの女の子は、かなしそうなさけび声をたてていたというじゃありませんか。」

小林くんがききかえすと、はかせはにやにやわらって、よこをむきました。