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あかいカブトムシ

赤いカブトムシ

江戸川 乱歩

「たのしい三年生」講談社、1958(昭和33)年4月~1959(昭和34)年3月

N4 · 入门 · 新字新假名 · 23,237 字 · 47 页

青空文庫

」

木村くんがさけびました。

そのとき、原っぱのむこうから、小林くんがかけもどってくるのが見えました。

「小林さあん、どこへ行ってたの。あいつは、赤いカブトムシを口に入れたまま空へのぼって、もう、見えなくなってしまったよ。」

井上くんがよびかけますと、みんなのそばへかけよってきた小林くんが、いきをはずませて答えました。

「明智先生に、でんわをかけたんだよ。

明智先生に、せいどうのまじんのことを知らせたらね、先生は、すぐに新聞社へでんわしてから、自動車で、あるところへとんでいってくださったんだよ。そして、いまにむこうの空から、みかたがとんでくるんだよ。」

小林くんが、東京の町の方の空をゆびさしました。いったい、空からなにがやって来るのでしょうか。

三十分あまりも待ったでしょうか。もう夕ぐれ近いむこうの空に、ぽつんと、黒いてんのようなものがあらわれました。

「あっ、来た、来た。あれだよ。」

小林くんがうれしそうにいいました。

てんのようなものは、だんだん大きくなって、こちらへ近づいてきます。それは、一台のヘリコプターでした。みなさん、しょうねんたんていだんのみかたというのは、このヘリコプターだったのです。