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あかいカブトムシ

赤いカブトムシ

江戸川 乱歩

「たのしい三年生」講談社、1958(昭和33)年4月~1959(昭和34)年3月

N4 · 入门 · 新字新假名 · 23,237 字 · 47 页

青空文庫

ガスがはいるにしたがって、ビニールのまじんはふくれあがり、しまいには、おとなの三ばいもあるきょじんになってしまったのでした。

せいどうのまじんがものをいったのは、ゆかのあなの下から、まほうはかせが、声をかえてしゃべっていたのです。

まじんが口を開いたのは、あごに細い糸がついていて、それを下からひっぱると口があき、糸をはなすと、口がしまるようになっていたのです。赤いカブトムシは、したにくくりつけてあったのでしょう。

まじんが出る前にあらわれた、たまごのおばけみたいなものも、やっぱりビニールでできていて、一度ガスを入れてふくらまし、みんながにげ出している間に、きゅうにそのガスをぬいたので、ビニールはぺちゃんこになり、ゆかのあなの下へかくれてしまったのです。

ちか室が暗いので、小林くんたちは、その小さなあなのしかけがよく見えなかったのでした。

空のせいどうのまじんは、だんだんすがたを小さくしながら、東の方へとんでいきます。東の方へ風がふいているのでしょう。まじんは、赤いカブトムシを口に入れたまま、その風に送られて、どことも知れずとびさっていきます。

「あっ、もう、見えなくなってしまった。