轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
おいついたゆめ
追いついた夢
山本 周五郎
「面白倶楽部」光文社、1950(昭和25)年11月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,427 字 · 41 页
――こういう薬があってこんなによく効くのに、法外なお金を出さなければ手にはいらないなんて、どういうわけかしら。
おけいは母親の寝顔を見ながらそう思った。
おたみが病みついてから三年になる。もともと躰が弱かったらしいが、おけいを産んで以来は精をなくしたようで、続けて百日と丈夫でいたことがなかったという。おけいが覚えてからでも、煮炊きや洗濯などはたいてい父親の七造がやった。おたみの躰の調子がいいときでも、洗濯だけは決してさせなかった。……七造は山本町の「植芳」という植木屋の職人をしていたが、それはこの長屋へ移って来てからのことで、同じ路地うちにいた源次が口をきいたのだという。源次は子飼いからの植芳の職人で、ずいぶんいい仕事をするそうだが、宇之吉という長男のほかに子供が五人あり、また自分が底抜けの酒のみだったため、いつもひどい貧乏に追われていた。それで宇之吉などは十一二の年から父と一緒に植芳へ手伝いに出て、家計を助けなければならなかった。
――病気はおめえしようがねえ、にんげん病気にゃあ勝てねえ。
毎晩のように酔って来て、定ってそんなふうに云う源次の姿を、おけいは今でもよく覚えている。