轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

おいついたゆめ

追いついた夢

山本 周五郎

「面白倶楽部」光文社、1950(昭和25)年11月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,427 字 · 41 页

青空文庫

六

和助はとびあがるほど吃驚した。回想でわれを忘れていたらしい、あという声さえあげた。

「――どうかしたんですか」

だらけたような無神経な妻の調子に、彼は激しい怒りを唆られた。けれどもそれを抑えつけて、冷やかに燗徳利を指した。

「もう一本つけて呉れ、熱くして」

お幸はのそのそと立ってきた。

――こんな女と十三年も暮してきたんだ。

彼は妻のほうへ侮蔑の眼をやりながらそう思った。それはすぐにおけいの姿へつながった、あの美しい従順な、みずみずしい娘、これまで見たこともなく、形容しようもないきれいな、若さと命のあふれるような躰。

――だがお幸、おまえも不幸ではなかった筈だぞ、おれが貰ってやらなければ一生おとこの味も知らずに済むところだった、それが嫁になって、子供も二人できたんだから、……おまけに、あとのことは近正の叔父がなんとかして呉れる、おれはおまえからつりを取ってもいいくらいだ。

勝手で妻が酒の音をさせていた。和助は満足そうに、うす暗い家の中を眺めまわした、冷酷な、嘲弄するような眼つきであった。

六

「頭をやすめにいって来る、もう鱚が出ているかもしれない」

彼はそう云って、釣道具を持って、まだほの暗いうちに家を出た。