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かみなりもんいほく
雷門以北
久保田 万太郎
「東京日日新聞」1927(昭和2)年6月30日~7月16日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,839 字 · 44 页
――そうして、そこに、有縁無縁の石塔の累々としたあいだに、鐘搗堂をうしなったつり鐘の雑草にうもれていたずらに青錆びているのをみるだろう。――門もなければ塀もなく、ぐず/\にいつか入りこんで来た町のさまの、その長屋つづきのかげにのこされた古池。――トラックの音のときに物うくひびくその水のうえに睡蓮の花の白く咲いたのもいじらしい……
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『歌沢新内の生粋を解せずして、薩摩琵琶浪花節の露骨を喜び、旧劇の渋味をあざけりて壮俳の浅薄を賞す』と「浅草繁盛記」の著者がいくらそういっても、いまのその「新しい浅草」の帰趨するところはけだしそれ以上である。薩摩琵琶浪花節よりもっと「露骨」な安来節、鴨緑江節が勢力をえている。そのかみの壮士芝居よりもっと「浅薄」な剣劇が客を呼んでいる。これを活動写真のうえにみても、いうところの「西洋もの」のことにして、日本出来の、なにがしプロダクションのかげろうよりもはかない「超特作品」のはるかに人気を博していることはいうをまたない。
みたり聞いたりするものの場合ばかりにとどまらない、飲んだり食ったりの場合にして矢っ張そうである。