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おりべというとうき

魯山人陶説

北大路 魯山人

北大路魯山人『魯山人陶説』。同一底本的分册已合并为一书。收入:織部という陶器、乾山の陶器、芸美革新、古唐津、古九谷観、志野焼の価値、瀬戸黒の話、陶器鑑賞について、備前焼、料理と器物、雅美ということ、古器観道楽、坐辺師友。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 62,241 字 · 127 页

青空文庫

雪とか、月とか、花とか、かかる自然美を心ゆくまで観賞したとて、別に三文半文を要するわけでもない。観て楽しめる心のゆとりさえあればわが物に等しい。

戦線の塹壕の中に在って挿花を試み、悦に入る軍人の可憐な風情を写真に見て、さて考えさせられることは、雅美に親しめる風雅人は人一倍幸福だということである。生死の境なんてものも、この一瞬、問題ではなくなるのではないか。

「殊更兜に名香のかをるは兼ねての御物語り」

などという古人の心情は羨ましい。嘘にでも真似て見たい心地がする。

雅美というものは、何万円もの茶碗を買ったり、何十万円もの美殿を造営したりすることではない。むしろそんなのは、得て不純の動機が生む俗事に係わる場合が少なくない。

陋巷に在ってその楽を改めずと言うのは可い。「沂に浴し、舞※(「樗のつくり」、第3水準1-93-68)に風し、詠じて帰らん」と言うのも、風流である。中国も大昔の高士の行動には、礼讃に価いするものが多い。

雅美ということを、もし曲解して、ぜいたくごとか、のん気な仕事ででもある如く思惟するものがあったとしたら、それは、余りにもあわてた話であると言わねばならない。