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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(一)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 231,525 字 · 463 頁

青空文庫

三

――これは一体、何の差か、わかるか」

「…………」

「腕ずくでは、なるほど、おぬしが強いに極まっている。虎と人間では、角力にならん。だが、虎はやはり、人間以下のものでしかないのだぞ」

「…………」

「たとえば、おぬしの勇気もそうだ、今日までの振舞は、無智から来ている生命知らずの蛮勇だ、人間の勇気ではない、武士の強さとはそんなものじゃないのだ。怖いものの怖さをよく知っているのが人間の勇気であり、生命は、惜しみいたわって珠とも抱き、そして、真の死所を得ることが、真の人間というものじゃ。……惜しいと、わしがいうたのはそこのことだ。おぬしには生れながらの腕力と剛気はあるが、学問がない、武道の悪いところだけを学んで、智徳を磨こうとしなかった。文武二道というが、二道とは、ふた道と読むのではない。ふたつを備えて、一つ道だよ。――わかるか、武蔵」

三

石もいわず、樹も語らず、闇は寂としたままの闇であった。そしてややしばらくの沈黙がつづいていた。

――と。やがてやおら沢庵は石の上から腰をあげて、

「武蔵、もう一晩、考えてみなさい。そのうえで、首を刎ねてやろう」

と、立ち去りかけた。