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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(一)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 231,525 字 · 463 頁

青空文庫

三

三

菜のはな、春菊、鬼げし、野ばら、すみれ――お通は刈りとるそばから籠へ投げて、

「沢庵さん、人にお説教するよりは、自分の頭をまた蜂にさされないようにお気をつけなさいよ」

と、ひやかした。

沢庵は、耳も貸さない。

「ばか、蜂の話じゃないぞ、ひとりの女人の運命について、わしは釈尊のおつたえをいっているのだ」

「お世話やきね」

「そうそう、よく喝破した。坊主という職業は、まったく、おせッかいな商売にちがいない。だが、米屋、呉服屋、大工、武士――と同じように、これもこの世に不用な仕事でないから有ることも不思議でない。――そもそもまた、その坊主と、女人とは、三千年の昔から仲がわるい。女人は、夜叉、魔王、地獄使などと仏法からいわれているからな。お通さんとわしと仲のわるいのも、遠い宿縁だろうな」

「なぜ、女は夜叉?」

「男をだますから」

「男だって、女をだますでしょ」

「――待てよ、その返辞は、ちょっと困ったな。……そうそうわかった」

「さ、答えてごらんなさい」

「お釈迦さまは男だった……」

「勝手なことばかしいって!」

「だが、女人よ」

「オオ、うるさい」

「女人よ、ひがみ給うな、釈尊もお若いころは、菩提樹下で、欲染、能悦、可愛、などという魔女たちに憑きなやまされて、ひどく女性を悪観したものだが、晩年になると、女のお弟子も持たれている。