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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(一)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 231,525 字 · 463 頁

青空文庫

四

承知してくれれば、利益は勿論山分け、その間の食費、宿料も一切こっちで持とう。ひと儲けして、次の旅へ向われる路銀をおこしらえになってはいかが?

――頻りとすすめるのを、武蔵はにやにや聞いていたが、もう飽々したという態で、

「いや、そういう御用なら、長座は無用、ごめんをこうむる」

あっさり断ると、三名の方では、むしろ意外とするらしく、

「なぜで?」

とたたみかけて来る。

そこまで至ると、武蔵はすこし憤かついて来て、青年の一徹を示し、昂然といった。

「拙者は、ばくち打ちではない。また、飯は箸で食う男で、木剣では食わん男だ」

「なに、なんだと」

「わからんか、宮本は痩せても枯れても、剣人をもって任じておるのだ、馬鹿、帰れっ」

四

ふふんと、一人は冷笑を唇の辺にながし、一人は赤い怒気を顔にふき出して、

「忘れるな」

それが、捨て科白だった。

自分たちが束になっても、勝ち目のないことをその三名はよく心得ている。かなり苦い顔つきと、腹の中のものを抑えて、ただ跫音と態度にだけ、

(これだけで帰るのでないぞ)

の意思を示し、どやどや外へ出て行ったのである。

この頃は毎晩が肌ぬるいおぼろ夜だった。