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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(一)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 231,525 字 · 463 頁
五
そのために、自分の勇猛というものは、少年時代から見れば、ずっと弱まっていると考えられるのに、あの日観は、まだ強すぎるというのだ。それは腕の強さをいうのではなく、自分の天分にある野性と争気を指していっていることだけは、武蔵にもわかっている。
「兵法者に、書物などは要らない智恵だ。生半可、ひとの心や気もちのうごきに敏感になったから、かえって、こっちの手が怯れるのだ。日観なども、眼をとじて一撃を揮り落せば、実は脆い土偶みたいなものかも知れないのだ」
誰かここへ上がって来るらしく、その時、彼の手枕に、梯子だんの跫音が伝わって来た。
五
階下の小女が顔を出し、その後からすぐ城太郎が上がって来たのである。城太郎の黒い顔は、旅の垢でよけいに黒くなり、河っ童のような髪の毛は埃で白くなっていた。
「おう、来たか。よく分ったな」
武蔵が、胸をひろげて迎えてやると、城太郎はその前に、汚れた足を投げ出して坐った。
「ああくたびれた」
「探したか」
「探したとも。とッても、探しちまッたい」
「宝蔵院で訊ねたであろうが」
「ところが、あそこの坊さんに訊いても知らないというんだもの。おじさん、忘れていたのだろう」