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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(一)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 231,525 字 · 463 頁

青空文庫

加盞。加盞。

或る者はいう。武蔵は弱し逃げ上手の卑怯者なりと。また或る者はいう。彼は不可解の剣人なりと。――そんな事、どっちでもよし、ただ野生は、兄が剣によってともかく洛陽の人士に一波紋を投げたるを、ひそかに慶す。

思うに。

君は賢明だよ、おそらくは剣も巧者になって出世すべし。

翻って、今のわれを見れば如何。

愚や、愚や、この鈍児、賢友を仰いでなんぞ愧死せざるや。

だが待て、人生の長途、まだ永遠は測るべからずという奴さ、今は会いたくない、そのうちに会える日もあろうというもの也。

健康をいのる。

これが全文かと思うと、追而書きのほうに、まだくどくどと火急らしい用向きが認めてある。その用向きというのは、吉岡道場の千人の門下が、先頃の事件をふかく意趣にふくみ、躍起になって君のありかを捜しているから、身辺にふかく注意をしなければいけない。君は今折角剣のほうで頭角を出し始めたところだ、死んではならぬ、俺も何かで一人前になったら君と会って、大いに過去のことも語りたい気持でいるのだから、俺の張合いのためにも、体をまもって生きていてくれ――

そんな意味なのである。

先は友情のつもりらしいが、この忠告のうちにも、多分な又八のひがみが滲んでいた。