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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(一)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 231,525 字 · 463 頁
間もなく、父の方からは、追手が来て、九歳の彼は、裸馬の背に縛られて、播州からふたたび、美作の吉野郷宮本村へ連れもどされた。父の無二斎はひどく怒って、
(不届者不届者)
と、杖で打って打って打ちすえた。その時のことも、まざまざと、童心につよく烙きつけられてある。
(二度と、母の所へゆくと、我子といえど、承知せぬぞ)
その後、間もなく、その母が病気で死んだと聞いてから、武蔵は、鬱ぎ性から急に手のつけられない暴れン坊になった、さすがの無二斎も黙ってしまった、十手を持って懲らそうとすれば、棒を取って、父へかかって来る始末だった、村の悪童はみな彼に慴伏し、彼と対峙する者は、やはり郷士の伜の又八だけだった。
十二、三には、もう大人に近い背丈があった。或る年、村へ金箔磨きの高札を立てて、近郷の者に試合を挑みに来た有馬喜兵衛という武者修行の者を、矢来の中で打ち殺した時は、
(豊年童子の武やんは強い)
と、村の者に、凱歌をあげさせたが、その腕力で、いくつになっても、乱暴がつづくと、
(武蔵が来たぞ、さわるな)
と、怖がられ、嫌われ、そして人間の冷たい心ばかりが彼に映った。