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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(一)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 231,525 字 · 463 頁

青空文庫

牢人の群れも、宝蔵院衆の列も、その一人の敵に対して、圧倒的な多数を擁してはいるが、彼ほど、蒼白になっている顔は一つもなかった。

(――多寡が)

と、衆を恃んでいる気持が、どこかに楽天的なものを湛え、ただ死神の眼に真っ先につかまることを、お互いが警戒しているだけに過ぎない。

――と。

槍をつらねている宝蔵院衆の列の端にいた一人の僧が、合図を下したかのように見えた時である、十数名の黒衣の槍仕は一斉に、わっと、喚きながら、その列をくずさずに、武蔵の右がわへ、駈け廻った。

「武蔵――ッ」

と、その僧がさけんだ。

「聞くところによれば、汝、いささかの腕を誇って、この胤舜が留守中に、門下の阿巌を仆し、またそれに増長して、宝蔵院のことを、悪しざまに世間へいいふらしたのみか、辻々へ、落首など貼らせて、吾々を嘲笑したと申すことであるが、確とそうか」

「ちがう!」

武蔵の答えは、簡明だった。

「よく物事は、眼で見、耳できくばかりでなく、肚で観ろ、坊主ともある者が」

「なにッ」

薪へ油である。

胤舜をさし措いて、ほかの僧たちが口々に、

「問答無用っ」

といった。

すると、挟撃の形をとって、武蔵の左がわにむらがっていた牢人たちが、