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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(一)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 231,525 字 · 463 頁

青空文庫

「だまれっ」

また一拳を彼の頭へ見舞った。

こんどは交わし損ねて、その拳が城太郎の耳の辺をごつんと打った。城太郎の片手がそこを抑え、河ッ童あたまの毛がみな逆立ッた。

「何するんだ!」

「お犬を撃ち殺したからには、お犬のとおりに打ち殺してくれる」

「おれは、このあいだの、返報をしたんだ。返報のまた返報をしてもいいのか。大人のくせにそれくらいな理窟がわからないのか」

彼としては、死を賭して、やったことだ。侍の最大な恥は面傷だというその意気地を明らかにしたのだ。むしろ、誉められるかとさえ思っているかも知れないのである。

だから、太郎付の家臣が、いくら咎めようと怒ろうと、彼としては怯まないのだ。かえってその由謂れのないことを憤慨して、反対に喰ってかかった。

「やかましいっ。いくら童でも、犬と人間のけじめがつかぬ年ごろではあるまい。犬に仇討ちをしかけるとは何事だ。――処分するぞっ、こらっ、お犬のとおりに」

むずと城太郎の襟がみをつかんで、その家臣は、初めて周りの人々へ眼をもって、同意を求めた。自己の職分として、当然にすることを宣言するのであった。

藩士たちは、黙ってうなずいた。