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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(一)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 231,525 字 · 463 頁

青空文庫

「お通さん、おまえはなぜ男に生れなかったのだい。それほど強い意思の男ならば、尠くも一かど国のために役立つ者になれたろうに」

「こういう女があってはいけないんですか。武蔵さまの不為なのですか」

「ひがみなさんな。そういったわけではない。――だが武蔵は、おまえがいくら愛慕を示しても、そこから逃げてしまうんじゃないか。――そうとしたら、追ってもつかまるまい」

「おもしろいので、こんな苦しみをしているのではありません」

「少し会わないうちに、お前も世間なみの女の理窟をいうようになったの」

「だって。……いえ、もうよしましょう、沢庵さんのような名僧智識に、女の気持がわかるはずはありませんから」

「わしも、女の子は、苦手だよ、返辞にこまる」

お通は、ついと足を反らし、

「――城太さん、おいで」

彼と共に、沢庵をそこへ置き捨てて、べつな道へ歩みかけた。

二

沢庵は立ちどまった。ふと嘆くような眉をうごかしたが、是非もないとしたらしく、

「お通さん、ではもう石舟斎様にお別れもせずに、自分の行きたい途へ行くつもりか」

「ええお別れは、心のうちでここからいたします。もともと、あの御草庵にも、こんな長くお世話になるつもりもなかったのですから」