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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 187,841 字 · 376 頁

青空文庫

と、促した。

空はようやく明けかけていた。

それが、十九日のことだった。

次の日には。

信長以下、岐阜を発した兵馬は、近江に侵入していた。

いたる所の門徒一揆を破りながら、佐々木六角と浅井長政との連環を、次々に、踏みつぶしていた。そして、二十一日にはもう、浅井の本城小谷へ迫っていた。小谷の出城、横山城を囲んでいたのである。

疾風電撃。

――信長勢が。

と、敵が耳に眼に知る時は、もう潰乱されていた。備える間などないし、崩れて、次陣を布く遑もなかった。

大雨の雨脚が、雲と共に、野を掃いてゆくようだった。

けれど、その席巻ぶりにも、限りがあった。横山城に当ると、ここは越前と江北の要路で、敵には、重要な地点だった。さすがに、頑として、手ごたえがある。

大野木土佐守は、朝倉家のうちでも名だたる驍将だ。その大野木勢に、野村肥後の精鋭が扶けて、

「陥せるものなら陥してみよ」

と、その堅塁を誇っていた。

時は、六月の大暑。

転戦また転戦をかさねて来た寄手の勢は、眼鼻もわからぬほど黒くなっていた。すると、二十二日の頃、

「大挙、越前の朝倉勢が、山越えして、小谷の救援にやってくる!」