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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 187,841 字 · 376 頁

青空文庫

との報がはいった。

次の、詳報に依ると、

――越前の援軍は、総勢一万余騎、朝倉孫三郎景健を主将として、魚住左衛門、小林端周軒、黒坂備中守などの錚々たる将僚をそろえ、その兵卒らは声を合わせて、

こんど大寄越ゆるなら

故郷のみやげになに持とか

近江ざらしよ

あの君に。

否とよ

われの持つものは

鑓の穂先に織田が首

織田信長が茶筌首。

と、誰が陣中で作ったか、俗歌の節をつけて謡いながら、旗鼓堂々、大寄山をこえ、野村、三田村方面をさして来るとのことだった。

横山城は、所詮、急激に陥ちそうもない。――退路を遮断されたら、ふたたび越前の木目峠の死地に立つ。

「龍ヶ鼻まで退け」

信長は、急に退いて、ここで対策を練り直した。

ちょうどその日だった。

信長が、心のうちに、待ちかねた徳川家康が、五千の兵を率いて来援に着いたのは。

よほど欣しかったとみえ、信長はその時陣頭で、黒の薄い陣羽織に、塗りの大笠をいただき、左に扇を持ち、右手に杖を持って、何か指揮していたが、

「おおッ」

と、家康のすがたへ、遠くからその扇を振って迎えた。

この気強い味方を迎えると、信長は自身、案内に立って、眼前の戦場の地形、敵の布陣、越前の援軍の情勢などを説明して、