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ばいりせんせいぎょうじょうき

梅里先生行状記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《梅里先生行状記(ばいりせんせいぎょうじょうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 209,260 字 · 418 頁

青空文庫

騒雲

一

と、侍巨へいったほどである。

さっそく、老公は、旅行中の十竹へ向けて、それから二度三度、書面を送っていたようである。

楠公一族が、忠烈な碧血をもって苔と咲かせた摂河泉の石を、湊川まで運ばせて、大きな碑を建てよう――という計画であるらしく窺われた。

(そんなことをなされても、よろしいものであろうか)

もれ聞いたひとは今、大いに危惧しているところである。

*

酒も冷えよう、猪鍋も煮えつまろう。こう思い出ばなしのみ辿っていては限りもない。

汁講の夜とはいえ、すこし余談にわたりすぎた嫌いがある。もとの座しきにかえって、雪乃やお蕗などのすがたも見、やや更け白けた燭の丁字を剪るとしよう。

騒雲

一

――さて。

雪乃は多年のねがいもとどいて、親しく老公に会い、はなしは尽きなかったが、夜の時刻には限りもあり、ほかに大勢の客もいる席とて、長居も気づかわれて、

「……もう、おいとまをいただきましょう」

と、娘のお蕗をうながして、退がりかけた。

「待つがよい」

老公は、帰り途を案じて、駕はあるのかと、惣左へたずね、

「駕をととのえて遣わすから、そのあいだ、もうしばらく、はなしておるがよい」