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ばいりせんせいぎょうじょうき
梅里先生行状記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《梅里先生行状記(ばいりせんせいぎょうじょうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 209,260 字 · 418 頁
五
わが世の春は、いまや吉保に来かけている。大奥の女性には女性らのほしいままを、将軍家の小欲にはまたあらゆる栄華を、それから自分にも。一門にも。
五
さて、その夕べ。
客の荻原重秀は、まもなく席を辞して立った。夥しい燭と人影が、廊下から表へ送ってゆく。
いかにも内輪の客あつかいである。将軍家の寵臣同士が、こう親しいのは当然であるが、一は綱吉の側用人にして宰相にひとしい権勢のひと。一は勘定奉行という特殊な職務にあるものである。怪しめば怪しめないことはない。
のちに思いあわせると、それから二年と経たないうちに、悪貨濫造という思いきった政策が、将軍家のゆるすところになって実現し、騒然と、世の物議をかもした。
幕府に金がなくなって来たのである。綱吉の栄華や大奥の奢侈に費やされたことももちろんであるが、大奥の女性を経て、護持院の建立とか、そのほか無用な喜捨享楽に投ぜられた額も莫大であった。また、綱吉の奢りはひとり、綱吉にとどまらないで、直臣諸侯に及ぼして行ったことはいうまでもない。
ひいては、世をあげて、贅美と逸楽の坩堝と化し、物はあがり貨幣価値は低くなった。