輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ばいりせんせいぎょうじょうき

梅里先生行状記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《梅里先生行状記(ばいりせんせいぎょうじょうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 209,260 字 · 418 頁

青空文庫

十七

そこへ、介三郎が、縁からにじり入ると、老公は、わずか二、三の書簡だけをべつにして、

「村右衛門、あとはみな、一束にからげておけ」

と、命じ、すぐ膝を向けかえて、

「介三郎、そちが持参のものを見せい」

と、急いだ。

彼方の舞台から聞えてくる能管や鼓の急拍子によって、老公には番組の進行がわかっているらしいのである。そしてここに身をおいている限りのある時間に胸は急かれてくるらしかった。

――と、察して介三郎も、

「はっ」

と、要らざる辞儀作法をとりのぞき、ツツと身を進めて、手に携えて来た渋紙づつみの紙縒をぶつぶつと断ちきった。

そして、老公の調べに手伝いながら、反古書簡など、一通一通、披いては渡し、またすぐ披いては渡し、またたく間に、見せ終った。

老公は、その数あるうちから、たった一片の覚え書と古手紙とをわきへ取りのけたきりだった。

が、やや不満そうに、

「これだけか」

と、問うのを、介三郎は、

「いえ、なお、もう一品」

と、最後に例の連判の一巻を、前にさし出した。

老公の頬に、すこし紅がさした。巻の紐爪を解き、くるくると繰りひろげる。らんとした眼がずうっと、それに、並ぶ名を一瞥した。