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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《神州天馬侠(しんしゅうてんまきょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 頁
五郎次はブルッと身ぶるいしたが、すでに空井戸の逃げみちは断たれ、四面楚歌にかこまれてしまった上は、とうてい助かる術はないとかんねんして、やにわに陣刀をギラリと抜き、
「おお、そこへきたのは加賀見忍剣とみたがひがめか、もと穴山梅雪が四天王のひとり佐分利五郎次、きさまの法師首を剣先にかけて、亡主梅雪の回向にしてくれる、一騎うちの作法どおり人まじえをせずに、勝負をしろ」
窮鼠猫をかむとはこれだ、すてばちの怒号ものものしくも名のりをあげた。
忍剣は、それを聞くとかえって鉄杖の力をゆるめ、声ほがらかに笑って、
「はははは、さては汝は、悪入道の遺臣であったか、主人梅雪がすでに醜骸を裾野にさらして、相果てたるに、いまだ命ほしさに、呂宋兵衛の手下にしたがっているとは臆面なき恥知らず、いで、まことの武門をかがやかしたもう伊那丸さまの御内人加賀見忍剣が、天にかわって誅罰してくりょう」
「ほざくな痩法師、鬼神といわれたこの五郎次の陣刀を受けられるものなら受けてみろ」
「豎子! まだ忍剣の鉄杖のあじを知らぬな」
「うぬ、その舌の根を!」
――とさけびながら佐分利五郎次、三日月のごとき大刀をまっ向にかざして、加賀見忍剣の脳天へ斬りさげてくる。